鏝絵とは漆喰彫刻とも言われ、左官職人が鏝を使って描いた漆喰の絵のことです。
材料となる漆喰は土蔵などに使う塗り壁材料で、
消石灰にふのり、にがりなどを加え、これに糸くずや粘土を配合して練ったものです。
鏝絵に使う場合は石灰にカキ灰(牡蠣がらを焼いて作った灰)と砂やふのり(海藻)を
混ぜ合わせ、つなぎとして麻や藁を臼で搗いた「すさ」を練り込み、よく練り上げて
粘土状にします。この漆喰を鏝で盛り上げたり、彫りこんだりして絵を描きます。
漆喰だけを使った白一色のものもあり、顔料と膠を混ぜて鮮やかに着色した
ものもあります。
普通の左官でも何種類もの鏝を使用しますが、
漆喰彫刻を多く手がけた竹内源造は特注と思われる鏝を30本以上も持っていました。
(その遺品が竹内源造記念館に展示されています。)
粘土状にした材料を何種類もの鏝やへらを駆使して練り上げて描くのが鏝絵です。
鏝絵は民家の壁や戸袋、土蔵の扉や戸前の腰壁、妻飾り、窓枠などに
左官がコテでいろいろな絵柄を描いています。
それは家の主人が望んで描かせたものもありますが、
多くの場合、左官職人が施主に対して仕事をさせてもらったお礼として、
その家の幸せと繁栄を願って描いたものです。
☆ 絵柄
a 龍・・・龍は水中に棲み、雲に乗って空中を飛び回る神秘的な動物と考えられ、
水の神様として火事除けのシンボルとして多く描かれています。
b 獅子・・・獅子(ライオン)は百獣の王とも言われ、強い力で
魔物を倒すと信じられています。日本には中国の唐の時代に伝わって
きたので「唐獅子」と呼ばれることが多いようです。
悪魔払いとして描かれます。
c 鶴と亀・・・長寿の象徴として「鶴は千年、亀は万年」といわれ、
縁起がいいのでよく描かれています。
d 恵比寿・大黒・・・幸福と財産をもたらす神様として信仰されている七福神の
中の神様です。
「恵比寿」は漁業・海上の守護神で、大漁の時は市が
立つので、商売繁盛につながります。
「大黒」は大きな袋を背負い、米俵に腰をおろしています。
この袋と米俵は富と財産を表しています。
e 鯉の滝登り・・・中国では、「龍門の滝」を登ることに成功した魚だけが
龍に変身できるという言い伝えがあります。
それで人間も努力すれば立身出世できると信じ、
この絵柄を描くことが多いのです。
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